人身売買とは 現状・問題点・目的について解説

2022年5月29日

人身売買は世界的な問題の一つとしてよく挙げられます。人身売買は外国に限らず日本でも小規模ではあるが行われています。人身売買は子供だけではなく大人でも被害にあう可能性があります。そんな人身売買について今回は解説していこうと思います。

人身売買・人身取引

人身売買とは

人身売買とは様々な理由により人身取引が行われることを言います。警察庁は国連薬物犯罪事務所(UNODC)の人身売買について以下のように翻訳しています。

【第3条】この議定書の適用上、
(a) 「人身取引」とは、搾取の目的で、暴力その他の形態の強制力による脅迫若しくはその行
使、誘拐、詐欺、欺もう、権力の濫用若しくはぜい弱な立場に乗ずること又は他の者を支
配下に置く者の同意を得る目的で行われる金銭若しくは利益の授受の手段を用いて、人を
獲得し、輸送し、引き渡し、蔵匿し、又は収受することをいう。搾取には、少なくとも、
他の者を売春させて搾取することその他の形態の性的搾取、強制的な労働若しくは役務の
提供、奴隷化若しくはこれに類する行為、隷属又は臓器の摘出を含める。
(b) (a)に規定する手段が用いられた場合には、人身取引の被害者が(a)に規定する搾取につ
いて同意しているか否かを問わない。
(c) 搾取の目的で児童を獲得し、輸送し、引き渡し、蔵匿し、又は収受することは、(a)に
規定するいずれの手段が用いられない場合であっても、人身取引とみなされる。
(d) 「児童」とは、18歳未満のすべての者をいう。

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/jinshintorihiki/teigi.pdf

人身売買の原因

人身売買が行われる原因として以下のようなものがあります。

  • 金銭
  • 臓器
  • 奴隷(強制労働)
  • ポルノ制作
  • 強制結婚 etc…

人身売買は様々な理由で行われ、人身売買が儲かることも事実です。人身売買の理由は主に性的搾取・臓器・強制労働です。この3つが主な原因として多く、人身売買された者は帰ってくることは極めて困難です。

人身売買(奴隷)

日本における強制労働としては、公的制度である技能実習制度(TITP)のもとで働く移住労働者が挙げられる。技能実習制度は「実習生」への職業的スキル向上の機会を与えることよりも、単純労働セクターにおける人手不足解消を主たる目的としており、しかも搾取と人権侵害が起こるような構造にっているとして国際的な批判を浴びている。2017 年10 月現在、技能実習制度で雇用されている労働者は 257,788 人で、全移住労働者の約 2 割を占める。うちベトナム人労働者が 44%を占め(105,540 人)、続いて中国人が 23%(84,179人)である。他の主な出身国はフィリピンとインドネシアである。労働者は 77 の業種に配置され、そこには食品加工、建設、機械、漁業、農業、縫製が含まれる。高齢者の介護分野は今後 10 年間で最も深刻な人手不足が予想されているため 12 13、2017 年には介護が追加された。2016 年、都道府県労働基準監督署および労働局は、技能実習を行う事業所のうち、労働基準法や条例に違反した 4,004 カ所の事業所に業務改善命令を出した。うち最低賃金を下回ったり違法な時間外労働を強制するなど労働基準法の深刻な違反を行った 40 の事業所を送検した。また労働基準監督署では、強制労働などの人権侵害について23の実習機関を調査した。2010 年以降、技能実習生が過労死した事例が 2 件あった。日本では残業が過小申告されることがあり、これらの違反の広がりを見極めるのは難しい。さらに最近の事象としては、留学ビザで来日する留学生の労働搾取がある。このビザでは勉強しながら合法的に週 28 時間までのアルバイトができる。このビザの仕組みが、日本の厳しい入管法令をすり抜けて(学ぶというより)合法的に働くための、新たな手段になっているのではないかという疑いがある。2016 年末現在、日本の教育機関に在籍する外国籍学生の数は 30 万人近くにのぼり、4 年前に比べて 10 万人増加している。ほとんどの学生は中国、ベトナム、ネパールの 3 国の出身者だ。外国からの留学生は高額な学費を払い旅費と生活費をまかなうため、多額の借金を抱えることが多い。留学生はたいてい日本人が敬遠する非熟練労働、すなわち工場、飲食店、宅配便、新聞配達などの仕事に就いている。これらの仕事にありがちなように、報酬が最低賃金額であるため、外国人留学生は債務と搾取のサイクルに絡め取られる厳しいリスクに直面している。ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン(JFC)も、日本で強制的労働搾取に遭いやすい脆弱な立場だという報告がある。1980 年代、フィリピン人女性たちが日本などの外国へ仕事の機会を求めて移住した。ホステスや娯楽産業で働くうちに妊娠したり関係が終わったりして、JFC たちはフィリピンで生まれたが、多くの場合父親である日本人からの支援は受けられなかった。JFC はフィリピンと日本で合計 30 万人いるとする報告もある。2009 年の国籍法改正により、JFC は日本人の父親が認知すれば日本国籍が取得できるようになった。これにより、フィリピンで支援を建前に JFC を標的にする「支援団体」が乱立することになった。高額の借金を背負い、JFC とその母親たちがブローカーの手引きで来日し、介護、工場、バー等での職を探すことになるが、たいていは搾取的条件下での労働になる。たとえば 2014 年 7 月の報道によれば、東大阪の介護施設が、JFC と母親たちに対し日本到着前に、自分たちが死亡した場合も会社の責任を問わないという契約書に無理やり署名させたという。

http://notforsalejapan.org/wp-content/uploads/2018/08/Global-Slavery-Index-2018-%E5%92%8C%E8%A8%B3-1.pdf

人身売買(性的搾取)

2016 年、日本政府は性的搾取の被害者を 37 人認知し、9 人をホステスとしての強制労働として認知した。日本人被害者は出会い系サイトを通した売春の強要が多く、一方外国籍被害者はホステスとしての労働か娯楽施設(風俗店)でのセックスワークの強要が多い。ホステスとしての稼働にはセックスワークも含まれることがあるが、常にそうだというわけではない。フィリピン人女性が、性的搾取を目的に日本に人身取引されたことを示す証拠がある。女性たちは合法的に勧誘されたが、それは高給の仕事という嘘の約束であり、性産業またはホステスとしての仕事に就くことを強要されている。密航と人身取引の境界線が曖昧になる場合もある。渡航書類を持たず、または偽の書類を持って自分の意志でフィリピンを出国しても、日本に着いたところで人身取引されるケースだ。2016 年、フィリピン政府は自国民に対して、セックスワークや強制労働のために日本に人身取引されるリスクがあることを警告している。日本政府が 2016 年に認知した 50 人の被害者のうち 8 人がフィリピン国籍だった。また他にも、人身取引業者が外国籍女性と日本人男性の間の偽装結婚を使い、セックスワークの強要のために女性たちを日本へ入国させるケースも報告されている。また、女性たちが「アダルトビデオ(AV)」と呼ばれるポルノグラフィー映像への出演を強要されているという報告もある。女性たちはモデルや女優などの仕事を提供するという虚偽の約束に騙されて AV 出演を強要される。被害者が拒否すると、エージェントが罰金を払えと言ったり、または被害者の家族に映像を見せるなどと脅すという。被害者たちはまた、自分が映った映像に関する著作権などの法的権利を放棄させるような契約書に、署名を強要される。人身取引に取り組むある日本の NGO は、2016 年に、AV 産業で性的搾取に遭っている被害者から新たに 100 件以上の相談を受けたと報告している。「JK (Joshi-Kosei=女子高生)ビジネス」と呼ばれる、15 歳から 18 歳の女子高校生によるデートサービスやその「裏オプション」にも性的搾取が行われている懸念がある。2015年にある報道が JK ビジネスに携わる少女の数を約 5,000 人と推計したが、実際の人数を推計するのは非常に難しい。この産業で働く少女たちは仕事に応じて報酬を得るが、専門
家は、実態は顧客や雇用主による虐待や性的搾取につながりかねないと懸念している。たとえば、ある 17 歳の少女は、顧客によって皮膚を切られライターで火傷させられたうえに、風呂に沈められ意識不明に陥ったと伝えられている。2015 年、「子どもの売買、児童買春、児童ポルノに関する国連特別報告者」は、JK ビジネスや、日本人男性に対し金銭の見返りにデートを提供する(時に性的サービスを含む)「援助交際」が、社会的に受容され許容されていることへの懸念を表明している。2016 年、日本政府は児童買春や児童の性的サービス売買事犯を 809 件摘発している。

http://notforsalejapan.org/wp-content/uploads/2018/08/Global-Slavery-Index-2018-%E5%92%8C%E8%A8%B3-1.pdf

人身売買の被害件数

ユニセフの2012年から2014年の調査では世界106カ国で6万3251人が人身売買の被害にあっていることが分かっています。また、そのうちの71%が女性であり、主な被害者は女性であることもわかっている。しかし男性の被害件数も年々増加してきており、5人に1人男性であることが分かっています。

ユニセフの人身売買に関するページ

https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_06.html

人身売買への対応

人身売買の実態は掴みづらくなかなか逮捕に至りません。そんななか民間の団体などは被害にあったメンタルヘルスのケアなどを行っています。

サムネ画像出典:https://www.wisebk.com/wp-content/uploads/2012/01/20-10.jpg

SDGs,差別

Posted by Da-ta